読んだもの

ある一人の友人を想定読者に書いていくブログ∧独学ノート。

大江健三郎『見る前に跳べ』(2023/12/1)

“Look if you want to, but you will have to leap”

ネットサーフィンで書名を見て、岡林信康の同名のアルバムを思い出したので図書館の全集を漁って読んだ。

大江健三郎が巧すぎて、ちょっと怖かったのでがっつり音楽をかけながら読んだ。808 Stateの無感情なビート。

  • あらすじ(固有名詞を覚えていない)

    東大仏文科の主人公は外人向け娼婦の良重と同居し、ときどき良重の客の通訳をしながら勉強し、仕事から帰ってきた良重と愛し合いながら眠る生活を送っている。政治活動をする学生との喧嘩で殴られた日、良重とその客と3人でナイトクラブへディナーへ行く。露出度の低い服を着た顔の青い女が歌っており、3人はそれを茶化す。主人公はニヒリスティックな「戦争に行きたい」という希望があることを公言していたが、良重の客に実際に戦地へ行く機会を与えられると結局何もせず、見る前に跳ぶことができないことを痛感する。その日の帰り、主人公はその客をだまし討ちで冬の川に落とす。

    ある日、研究室の助手に紹介され、主人公は芸大志望の女子学生の家庭教師をすることとなる。その女子学生はナイトクラブで歌っていた女であり、主人公は気に入って無料で授業を始める。いつしか二人は愛し合うようになり、女は懐胎し、主人公は良重と別れてアルバイトに精を出すようになる。はたして女は試験を突破したが、健康診断で肺病であることがわかり、出産すると命を落とすことがわかる。重苦しい空気の中、女は掻爬中絶を行い、そのまま二人は別れる。主人公は魂が抜けたように日々を過ごす中、良重と再会し下宿までついていくが、不能になった自分・見る前に跳ぶことができない自分に気づく。寝ている良重を置いて主人公は出ていく。

かなりかき乱されている。これだから小説を読むのは苦手だ。なぜ今の子は恋愛しないのか、という問が立って久しい。情動を捧げるのが嫌だからなのだろうか。それとも、半ば不本意な形でアテンション・エコノミーに可処分時間とエネルギーを捧げているからなのだろうか。そういう記事(ツイッターの投稿だったかも)を読んだ気がするが、思い出せない。

かき乱されたのは、多分女性の体、特に掻爬の描写のような人間のグロテスクさを描写する部分だろう。この小説について批評を出すことがあればそこの描写にこだわるだろうな。

あと、掻爬はそろそろグロテスクにすぎるので日本でも中絶薬の安全なアクセスを作ったほうが良い。アレ、一体誰がブロックしているんだろうね?

20世紀の詩人オーデンによる同名の詩がある。全集の翻訳を読んでも印象に全く残らなかったが、原文が良かったのでリンクを貼っておく。ところどころ知らない単語が出るが、高校までの英語で十分読めるレベルだ。おれたちは安穏としていられない。跳ばなければならないときはかならず来る。

そして、岡林信康の『見る前に跳べ』。全共闘バリケードの中にいた学生の精神性はだいたいこんなものなのだろうと思う。特に、「自由への長い旅」「私たちの望むものは」「今日をこえて」あたりか。「私たちの望むものは」から、最後の歌詞を引用する。

今ある幸せにとどまってはならない まだ見ぬ不幸せに今跳び立つのだ

順番としては、オーデン→大江→岡林。検索によれば、大江→岡林の間に早川義夫という日本語ロックの先駆者が挟まる。『見る前に跳べ』のタイトルが出てきた「堕天使ロック」も、早川義夫率いるジャックスの作である。

同じ大江の『我らの狂気を生き延びる道を教えよ』を読もうかと思ったが、夜も遅いし全集を持ち帰るわけにもいかないのでやめておく。

どうやら、こちらにもオーデンの詩が引用元にあるようだ。

 

電磁気学、どうやら学び方はいろいろあるらしい。今の教科書がそれなりに長く退屈なのと、ステップアップするための高校物理はわりとかんたんに学べてしまうのと、電磁気学での到達目標であるマクスウェル方程式から入ってすべてを導出してくれる教科書が存在するのとで、少しばかり迷ってしまっている。写経レベルで写すのをやめるべきか。

カウンセラーさんと相談して、このままやることにした。月・水に2時間ずつ、あとはやりたい勉強をやりたいタイミングで進める。研究室へのメールも送る。

 

CANがトチ狂っていて気持ち良い。しっかり教育を受けた骨太の楽器隊の上に、強烈な個性のボーカルが乗っている。楽器隊はわかっていておかしい事をやっているし、ボーカルはその楽器隊によって「歌が下手なやつを」選抜されている。ライブはローテーションを組んで24時間ぶっ続けでやったらしい。

聴いた音楽についても記録をつけるべきか。

 

外山合宿の同期と12/22-29でタイに行くことになった。金をつくらねばならない。アフィリエイトのセルフバックで稼ごうとしているが、間に合わない可能性も高い。フリーランスなどに限らず、とりあえず働いてみるべきなのだろうか。金策を探して実行しなければならない。

 

電磁気学、ベクトル解析を学んでおかないとこの先ちょっときついかもしれない。マセマの薄いやつをペラペラってやるか。どの記号や数式が何を意味しているかがだんだん追えなくなってくる。必要なのは概念をある程度理解して土台とすることなので、そこまでの精度は必要ない。どこの大学の書籍部でも売ってる軟派な得単のためのシリーズをやるか、それともヨビノリが勧めるやつをやるか。

 

12/11、ライブをやった。